院長のコラム

師走の雑感:人間の思考パターン

12月になると師走というように誰もが何となく「新年までにこれもやっておかなきゃ」と忙しい気分になるようです。医療機関においても『年末モード』とも言える独特の忙しさがあります。2005年も後10日を残すのみとなり、今週あたりから当院も『年末モード』に入ってきました。

 

お正月休みといっても今年の当院の場合は6日間で、日曜もありますから実質の臨時休業は4日だけです。ですが、毎年のようにこの時期になると薬をもらいたいという患者さんが、たくさんやって来られます。「正月に目薬が切れてしもうたら大変じゃ思うて、飛んできました」っていう患者さんのカルテを見ると6ヶ月も受診がないなんていうことがよ~くあります。もちろん白内障の進行予防薬の点眼などは、まじめに点眼を続けていたら半年は持ちませんから、いままでつけていなかった目薬でも正月前ということで残り少ないのが急に不安になるようです。こういうパターンはどうも年配の方に多いようです。正月を控えて、餅やおせちを準備したり、大掃除をしたりするのと同じように、医者に行って予備の薬ももらっておくのも、思い残すことがないようにして新年を迎えるための儀式の一つなのでしょうか。

 

最近は、年中無休のコンビニもあり、ファミレスもあり、急病になれば救急診療もあり(私もこの元旦の午後の舟入病院での眼科救急当番に志願して出務予定です)、準備し忘れたことがあってもさほど困ることはないはずですが、長年染み付いた人間の思考パターンは変えられないようです。

 

思考パターンといえば、不思議と皆さん考えることは同じというか、こんな年末の忙しい時期でも、曜日と時間帯によってはパタッと患者さんの出足が途絶えて暇になることもあります。かと思えば、「こんな雪じゃあ、誰も来ないだろうな」と思っていると、意外と込み合っていて、来られた患者さんが「今日ぐらいは空いとるじゃろう思うて来てみたら、えらい混んどるじゃない、どうしたん?」となることもあります。考えることは不思議と皆同じように重なるということなのでしょうね。

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