院長のコラム

今年のGWの雑感-救急医療、笑いと健康

今年のゴールデンウィーク、5月の4連休の初日が休日当番医に当っており、祭日でしたが、9時~18時まで眼科救急診療を行いました。広島市では眼科は、年末年始の当番だけはボランティアで手を挙げた医師が舟入病院で診療しますが、それ以外の休日は医師会員の眼科医療機関が輪番で、自分の診療所で診療します。また土曜日の夜(19~23時)も輪番で眼科医会員が舟入病院に出向しています。

 

この日は広島市周辺部での他の地域では眼科の当番医がなく、患者さんが多いかもしれないと思われたので、普段の休日当番の時よりもスタッフを増やして準備しました。広島市医師会では休日の救急診療の統計を取っていて、その日の患者数やそのうち何人が本当に緊急に医療を必要としたか、などを報告するようになっています。結局、その日は80人弱の患者さんが受診され、平日と違ってほとんど全員が当院へ初めて来られる初診患者さんですので、問診などにも時間がかかってけっこう多忙でした。中には、普段はそう頻繁にはお目にかからない、ぶどう膜炎と極端な眼圧上昇を起こすポスナーシュロスマン症候群の患者さんが2人も来られたり、網膜の血管閉塞で朝起きたら視力を失っていた方で緊急に大学病院へ入院治療をお願いしたり、重症患者さんもおられました。他にも休日のスポーツでボールが目に当たったとか、昨日の仕事で目にゴミが入ったとか、急に発症した結膜炎とか、軽症ながらも早く治療開始できて良かった、という緊急治療を要した患者さんが20名あまり来られました。

 

その他の50名以上の方は、『2週間前から目が赤くて痒いのが気になる』とか、『2ヶ月ぐらい前から飛蚊症がある』とか、『普段は仕事で連れてきにくいから、』と小学校の視力検診でもらった紙を持って子供の視力検査目的で来た親子とか、『連休になって残りがないことに気がついて、』とコンタクトレンズの処方箋をくれと言って来た人(さすがにこれは断りました)などなど、いつもの当番医の時と同じく、少なくとも敢えて休日に『救急当番』医に受診しなくてもいいんじゃあないかっていう患者さんが大部分を占めていました。

 

確か昨年の当番医の時にも、近所の時々受診されている白内障の患者さんが、『たまたま前を通ったら今日はすいてるみたいなんで、まだ残ってるけど、ついでにいつもの目薬を出してくれ』と言って入ってきました。『今日は日曜日の当番医で救急患者さんのために診療しているので、特に急変がないのなら平日に来てください。休日受診は料金も高くなりますし。』と言ったところ、いわゆる逆ギレ状態で、『そんなこと言うのはここの眼科だけだぞ。何が悪い。』と怒鳴られて閉口しました(その方は被爆者手帳を持っていて、自己負担金はゼロの方でした)。別に本当の救急患者さんでなくても、治療が必要な方が受診された場合は、軽症でも、何週間前からの病気であろうとも、救急当番医でも断れません。最近、医療崩壊が叫ばれ、救急医療でも医師不足や患者のたらい回し等が問題として取り上げられ、その原因として夜中や休日にコンビニ感覚で受診する患者の増加も、その一因として挙げられています。当院へ来られた上記の患者さんたちも、自分たちがその医療崩壊の犯人の一人だということに気がついてくれればと思います。

 

昔は患者さん側にも、『何日も前からの軽症の病気で夜中や休日に診てもらうのは申し訳ない』とか、『暗黙の了解』ってものがあったと思うんですがねぇ。いつの頃からでしょうか、急病でもなんでもないことが自分でもお分かりの患者さんたちが、特に遠慮したり悪怯れることもなく、当然のように休日当番医に受診するようになってきたのは。その『暗黙の了解』が壊れてきたのは、医療分野に限ったことではないようです。先日の新聞に、『最近110番への電話でとんでもないものが増加してきている。先日、“部屋にゴキブリが出てきて怖いから駆除してくれ”という若い夫婦からの110番コールがあり、ゴキブリを叩きつぶすために警官が無理矢理出動させられた』っていう信じられない話が出ていました。最近、重大事件の検挙率が落ちているのも、制約のある警察の予算や人員の中でこのような馬鹿げたことに対応しなければいけない事例が増えているのも一因ではないか、と思ったりします。

 

話題はがらりと変わりますが、当番医の翌日に大阪へ家族で行ってきました。今回の主な目的は、なんば花月の『よしもと』です。休日当番で溜まったストレス解消のため、今回はだいぶ前から計画して発売日にネットで予約したので、ど真ん中の前から3列目の席でした。さすがにお笑いの舞台をこれほど間近の距離で観るのは初めてで、『大木こだま・ひびき』(あの“チッチキチー”です)、『中川家』、『桂文珍』などが出演で、肉声が聞こえて表情まで細かく見える席で、久々に涙が出るほど笑いました。よしもと新喜劇の相変わらずのベタなギャグとズッコケもTVよりも生の方が断然オモロくて笑い転げました。(そういえば小学生の頃も、毎週土曜日に半ドンで帰ってきて、TVからあの“ホンワカ、ホッワ、、”っていう新喜劇のメロディーが流れてくると必ず観てたなー。)

 

やっぱり腹の底から笑えるってのは良いですね。『病は気から』なんて言いますが、笑うことが健康に良いのではないかってことは、ずいぶん前から言われています。だいぶ前ですが、映画『パッチ・アダムス』をDVDで観ましたが、学生時代からお金、物質優先の医学に疑問を抱き、愛とユーモアを根底にした優しい医療をめざす、実在の医師をモデルにした感動的な映画でした。映画の中で、医学生のパッチアダムスが道化師の扮装をして小児病棟を回診するエピソードがありましたが、実際に笑うことがNK(ナチュラルキラー)細胞の活性を高めて免疫力を強くするっていう実験データもあるそうです。最近、笑えない事件が多いですが、笑いがあふれて健康も保てる世の中になれば良いですね。

 

余談ですが、今回は橋下大阪府知事の行政改革で整理対象の候補にされ、話題になっていた大阪府立上方演芸資料館『ワッハ上方』にも行ってきました。笑いに関する書籍やDVDを集めて無料で閲覧できる図書室なんかはいい施設だな、と思いましたが、PC使ったお笑いのクイズやカツラかぶって写真撮ったりするようなコーナーもあって、『確かに税金から大枚はたいて、この一等地になくてもいい施設じゃあないかな』と橋下知事に共感を覚えました。

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