院長のコラム

東日本大震災

2011年3月11日、私にとっては51歳の誕生日だったのですが、ちょうどその日に、それどころではない未曾有の大地震、大津波が東北、北関東地方を襲いました。今日現在で死者、行方不明者はすでに2万人を超え、最終的な犠牲者数は見当もつかない情勢で、16年前の阪神大震災を大幅に超える被害となってしまいました。しかも今回は福島第一原発における事故も加わり、関東全域にわたっての放射能汚染も拡大の様相を見せています。今回の大震災の犠牲者、被災者の皆様には心より哀悼の意を表し、お見舞い申し上げます。

 

阪神大震災の時と比べて今回の特徴は地震の規模が大きかったのと、何よりも誰も想定できなかったほどの大津波で被害が更に拡大したことです。また、被災地の東北地方には、もともと過疎地帯の農業、漁業が中心産業だった地域も多く、高齢化が進んでいました。そのような地域で、家も農地も職場も津波で完全に流されて、高齢者世帯ではどうやってこれから生活を再建していくのか、途方に暮れているというのが現状だと推察します。農地は津波で海水と汚泥に覆われ、当分は使い物にならないでしょう。漁業も港や船が壊滅的な被害を受け、すぐに復興できないでしょう。この大災害からの復興、地方の再建にはとてつもないお金と時間を要するでしょう。また、原発事故に襲われた福島第一原発の周辺は農業、畜産業その他の金銭的被害だけでなく、今後長期間にわたって使えない土地になるかもしれません。この大災害からの復興に要するお金、時間、労力は阪神大震災の数倍以上になると思われます。

 

すでに世界各地から日本に向けて、さまざまな励ましや祈りが送られてきています。
http://www.youtube.com/watch?v=IxUsgXCaVtc
被災地以外に住んでいる我々は、自分たちの役割をはたすことで少しでも復興に協力していきたいと思います。やはり一番手っ取り早くできることは、日々の仕事を全力でこなし、日本経済を少しでも活性化させ、義援金などの寄付をしたり、税負担でも協力することだと思います。

 

先日、某製薬会社のMRさんが当院に来て、『先生、しばらくの間当社が後援する学会、勉強会の際の意見交換会(講師や参加者の懇親会:宴会)は自粛させていただくことにしました』って言ってきました。私はこういう風潮には反対です。こういう雰囲気が蔓延すると、ホテルの宴会部門や食品納入業者の受ける影響も大きく、被災地以外の景気も後退させてしまいます。私はそのMR氏に『そんなお通夜みたいなモードに入ってどうするの!広島くんだりで世間の目だけ気にして、そんな自粛モードに入って景気悪くするようなことはするなよ。堂々と宴会主催して、その代わりに飲み食い代相当の会費を徴収して、このお金は東北に義援金で送ります、ぐらい言うて企業イメージ良くした方がよほどええんと違うの?』と言ってあげました。

 

おそらく復興に必要なお金は何年にもわたって、何十兆円という単位になるでしょう。民間レベルでの被災者への寄付を続けるだけでなく、インフラ、産業再建のために政府による財政出動も大変な額が継続的に必要です。この2週間の政治の動きを見ていて、政府の遅い対応にもかなりイライラさせられています。こういう時こそ、真の『政治主導』でどんどん国会で非常時に必要な臨時の立法をやってくださいよ!!今のような非常時だからこそ、大胆な政策が取りやすいと思うのですが、、。この数日でもTVなどで識者の意見を見聞きすると、面白いアイデアがいくつも出ていました。とにかく復興予算の財源を作らなければいけないのですから、例えば国債でも『利息ゼロで償還期限なし、ただしその特別国債には相続税もかけません』なんてものを作ったら、富裕層の眠ってる預金がすぐにでも出てくるんじゃあないですかね。それ以外にも、例えば今までは手をつけるのが不可能だった宗教法人や公益法人への一般並みの課税も、このご時勢なら反対しにくいのではないでしょうか。国際的にも、例えばアホな首相が自分のパフォーマンスのために国際会議で約束してしまって日本企業の活力を削いでいたCO2削減25%の公約だって、今この時なら『ゴメン、震災の復興や原発事故の収拾のために、それどこでありませんから、無理です!約束は撤回します!』って宣言しても、国際社会も文句は言えないでしょう。近年コロコロと首相が変わって迷走し、世界中からひんしゅくを買っていた政界の先生方、この名誉挽回のチャンスに本当に命かけて頑張ってくださいよ!くだらないバラマキ政策はやめて、この国難からの復興に全精力を傾注してください!

 

この大混乱の中にあっても、被災地での略奪や暴動もなく、協力しあって秩序を保ち、行列つくって耐え忍んでいる日本国民の資質は、世界中から賞賛されていると聞きます。私も日々、自分のできることを粛々と行い、復興への協力を出来るだけやっていきたいと思っています。

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