院長のコラム

ドライアイ:最近ハマってます

日常の眼科診療の中で、最近増えてるなぁと感じる病気が『ドライアイ』です。ドライアイという言葉はお聞きになったことがある方が多いのではないかと思いますが、どんな病気かご存知の方は意外と少ないのではないでしょうか。

 

ドライアイ研究会のHPから引用すると、

「ドライアイとは、涙の乾きなど涙の異常により、目の表面の健康が損なわれる疾患です。2007年に本研究会では、ドラアイの定義を世界診断基準に準じて、『様々な要因による涙液および角結膜上皮の慢性疾患であり、眼不快感や視機能異常を伴う』と定めています。ドライアイは、大きく2つに分類することができます。1つは、涙の量が減ってしまう「量的な異常」、もう1つは、涙の性質や涙を保持する能力が変化する「質的な異常」です。「量的な異常」は、涙の分泌そのものが少ない状態です。「質的な異常」とは、涙の成分の異常、例えば、脂質成分やムチンと呼ばれるタンパク質成分が少ない、角結膜上皮に問題がある、などの原因により、涙は分泌されていても涙が目の表面に留まらない、すぐに乾いてしまう、といった状態です。「質的な異常」の一部に『BUT短縮型ドライアイ』と呼ばれる種類のドライアイがあります。これは、涙は分泌されているが目の表面で涙の膜が安定せず、5秒以内に涙が乾いてしまう状態をいいます。最近、パソコンなどの作業が多いオフィスワーカーやコンタクトレンズを装用している方を中心にこのタイプのドライアイが増えています。」

 

と記載されていますが、パソコンや携帯電話を長時間凝視する生活習慣や、現代社会におけるストレスが病気の原因になるのかもしれないと推測されています。

 

ドライアイの原因の一つとして以前から言われていることの一つに、『マイボーム腺機能不全』という病態があります。マイボーム腺というのは上下のまぶたに分布する脂の分泌腺で、ここからじわじわと脂成分が出てきて、涙の表面に油膜を形成することで、涙の蒸発が抑えられて乾燥を遅くするといわれています。実際に患者さんの眼を診察していると、瞬きによって角膜表面に出来た涙の薄膜が、数秒で乾いてしまう方は非常に数多くおられて、そのうちの数割にはマイボーム腺からの脂の分泌が低下している人がいると推測されています。

この『マイボーム腺機能不全』を改善するのに効果があるといわれている治療法の一つに温罨法というものがあります。要するに、まぶたを暖めてやることによって、マイボーム腺の脂の流れを良くして分泌を促進して、ドライアイの改善を促すというものです。まぶたを暖める方法にもいろいろあるのですが、最近、ドラッグストアなどでも売られている『蒸気でホットアイマスク』というものがあり、数年前から私も時々使っていたのですが、今年の冬は寒かったせいもあるためか、自分で使ってみて非常に調子が良かったので紹介します。

 

色々な製品があるようですが、最近私が使っているこの製品は、使い捨てカイロのような感じのアイマスクで、袋から取り出して10分ぐらいはホカホカと暖かく、ラベンダーや柚子などのリラックスできる香りがついているものも何種類もあって、就寝時につけて布団に入ると非常に気持よく、特に寒い夜に寝付けない時にこのアイマスクをして寝ると、数分でいつの間にか寝入っていることも多く、翌朝目が覚めた時もすっきりしている感じがしますので、この冬はかなり愛用させていただきました。ちなみに、効果はあくまでも個人的な感想です(笑)。また、私はこの製品の会社からは一切の便宜供与は受けておりませんし、薬局などで普通に個人的に購入していますので、念のため。

 

もちろん、ドライアイの原因はマイボーム腺機能不全だけではないので、温罨法はあくまでも補助療法です。最近はドライアイの研究も進み、以前はヒアルロン酸などの保湿成分の入った点眼薬での治療しかありませんでしたが、この数年で涙液中のムチン(乾燥を防ぐ涙の中のネバネバ成分)の分泌を増やしたり、涙の量を増やしたりする点眼も開発されています。実は、この新しい点眼薬は日本の製薬会社が開発したもので、この分野の薬物治療に関しては、日本の眼科医療が世界のトップを走っています。また、点眼治療でも不十分な重症ドライアイ(シェーグレン症候群など)には非常に効果がある涙点プラグという方法もあり、当院でも使用しております。

 

私も発足当初から日本ドライアイ研究会に所属して、ドライアイの診断治療に関しては常に最新情報を入手して、当院でのドライアイ患者さんの治療を行っておりますので、『眼が乾く、ショボショボする。疲れる。PCやデスクワークをしていると段々見えにくくなる』などの症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

 

ドライアイ研究会のHPは、
http://www.dryeye.ne.jp/index.html
をご覧下さい。

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