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院長のコラム『2018年を振り返って』(その1)

2018年もあっという間に過ぎ、あと2日を残すのみとなりました。ホームページの院長のコラムも、Facebookでクリニックのページを作って以降は、忙しさもあってすっかりご無沙汰となってしまい、年一回だけの更新が恒例となってしまいました。

 

今年も色々なことがありましたが、古江中野眼科の2018年のトピックスでは、まずは現院長の私が広島に戻ってきて亡父のクリニックを継承してから、ちょうど20周年になったことでしょうか。開業した当初は、20年なんて想像もつきませんでしたが、振り返るとあっという間のことでした。20周年の節目なので、久しぶりに職員旅行にでも行こうと企画し、2月の札幌雪まつりに行ってきました。私は高校卒業までは広島育ちでしたが、大学は北海道大学医学部へ進学しましたので、大学時代は雪まつりには学生下宿の仲間達と雪像作りで参加したこともあります。今でも大通り公園会場には自衛隊や消防局が造る大雪像の他に、「市民の広場」という会場があり、市民のグループが雪像作りを競うコーナーが設けられています。私が参加したのは30年以上前のことになりますが、その当時から市民の広場での雪像作りは人気があり、抽選で10倍近い競争率でした。極寒の夜に仲間達と力を合わせて雪像を造り、下宿のおばちゃんが運んでくれて大通り公園の屋外で食べた夜食の熱々の豚汁やおにぎりが素晴らしく美味だったことを、昨日のことのように覚えています。久しぶりの雪祭り見物、旭山動物園のペンギンパレード、ススキノでの宴会やラーメン、昔取った杵柄のスキーや母校訪問など、北海道を満喫しました。

職員旅行で休診にしている間には、数年前に1階診察室の大改装を行なった後で行った患者さんアンケートで「狭くて使いにくい」と不評であった、2階の手術室エリアのトイレ改修も行いました。1階のトイレは大改装時に2つに増やし、1つはドアも内部も拡張して車椅子対応にしていましたが、2階は昔のままの開口部75センチのドアで、内部に段差もあって、手術を受けられる高齢者や車椅子の患者さんにはとても不便な造りのままでした。今回は、コンクリート壁を少し切って引き戸にして開口部を拡げ、中も手洗いと便器が仕切られていたのをワンルーム化して段差も無くし、中に車椅子のまま入れるようにしました。結構な大工事となりましたが、手術患者さんにはご高齢で体の不自由な方も多いので、この機会に改修工事をやって良かったと思います。

院内の診療機器で今年新規に導入したものの目玉は、なんといってもOCTA : OCT Angiography装置です。当院では2006年から保険適応に先立って導入したOCT: Optical Coherence Tomography(光干渉断層計)は、網膜の断層像を数ミクロンという高解像度で観察できる画期的な装置でしたが、その後もどんどん進化して、眼科の診断学を変えてしまったといっても過言ではない機器です。今回導入した装置は、そこに更に血管造影の機能を加えた、Zeiss社CIRRUS5000 HD-OCTです。従来は網膜の血流を画像化するには蛍光を発する造影剤を静脈注射して、眼底カメラで連続写真を撮る蛍光眼底撮影が必要でしたが、造影剤にはアレルギーやショックなどの重大な副作用を生ずることが稀にあり、気軽に行える検査ではありませんでした。OCTAは、血管内を流れる赤血球の動きを捉えて画像化する事で、造影剤を用いることなく、患者さんへの負担が少ない検査が気軽に行えます。血管閉塞や新生血管が、層別に精細に描出できるので、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性症その他多くの網膜疾患の診断や経過観察に、大きな武器となっています。通常のOCT検査は、既に眼科では全国的に普及し、様々な病気の診断と経過観察に不可欠なものとなっていますが、当院ではそこにOCTAも可能な装置が2台目として加わり、検査の待ち時間も短縮されてきています。

 

この10年で眼科の世界を変えたOCTの進化はまだまだ止まらないと思います。今後もその進化に注目して、キャッチアップして行くために、勉強を続けて行きます。

また、白内障手術の分野では、昨年9月に先進医療「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」の実施施設として承認されて以降、このレンズをご希望の患者さんが来院されることも増えて、今年の手術件数の約5%に多焦点眼内レンズを使用しました。かなり高額のレンズを使用する先進医療の手術ということで、手術費用と眼内レンズ代金には健康保険が使えず100%自己負担でかなりの高額(当院では現在、片眼38万円)になってしまいますので、希望されるのは「先進医療特約」が付いた生命保険に加入されている患者さんが殆どでした。当院では現在、焦点拡張型(EDOF)と呼ばれるTecnis Symfony multifocalという多焦点眼内レンズを中心に使用していますが、術後は多くの方が日常生活では殆どメガネなしでの生活をエンジョイされています。どのタイプの多焦点眼内レンズでも、眼によって適不適がありますが、適応を選んできちんと術前に説明していれば(若い時の眼に戻るわけではありませんので、夢のような過度の期待は禁物です)、かなり満足度の高い結果が得られています。

次回(2020年)の健康保険点数改定では、多焦点眼内レンズ手術が先進医療の枠組みから外れると噂されており、今後さらにこの眼内レンズが普及して行くかどうか、先行きは不透明ですが、テクノロジーとしてはさらに進歩が期待される分野です。

 

2019年も、より多くの患者さんに明るい生活を送っていただけるように、職員一同頑張って行きたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

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