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2019年を振り返ってーその2

さて、2019年を振り返ってーその2は、恒例のカープについて振り返ってみたいと思います。言うまでもなく、今年はセ・リーグ4連覇を逃しました。今年はとにかく連勝と連敗の繰り返しで何回か首位に立ち、4連覇を予感させた時期もありましたが、結果的に4位となり、久しぶりのBクラス転落でした。敗因分析をすると、いくつもの要因があると思いますが、大きく分けると三つになるかと思います。

 

1. 丸のFA移籍:言うまでもなく2年連続MVPだった3連覇の立役者の一人の丸が、よりによって同リーグのライバルチームに抜かれてしまったのが大きな要因であったことは間違いないでしょう。

 

2. 得点力不足:緒方監督はことあるごとに「守り勝つ野球」と念仏のように唱えていましたが、3連覇中は「逆転のカープ」と呼ばれたように、終盤に2、3点差のビハインドがあっても負ける気がしない得点力がありました。丸が抜けたことも得点力低下の原因なのはもちろんですが、これはほんの一部にしか過ぎません。体調不良の田中広輔選手を無理に起用し続けたこと(結果的に手術しなければならないほど悪化させてしまったのは問題だったと思います)、打撃不振で守備走塁でもボーンヘッドが多々あった野間選手を頑固に起用し続けたこと(可愛さ余ってのビンタ事件もありましたが)、丸の代わりにジャイアンツから来てくれた長野選手を「宝の持ち腐れ」状態にしてしまったこと、3番打者を固定できなかったことなどが挙げられます。今ひとつ年間通して活躍できなかったバティスタ選手の薬物事件もチームの雰囲気という点では大きなマイナス要因でした。

 

3. 投手陣の不振:柱の大瀬良投手も昨年ほどの球威がなかったように思いましたが、床田投手が怪我から復帰してブレイクしてくれました。しかし、もう一人の柱となるべきジョンソン投手は先制点を許すとほとんど立て直せず、野村祐輔投手も投げてみないと分からない状態、岡田投手と薮田投手は全くの大不振で役に立ちませんでした。中継ぎ陣では、菊池(保)投手、中村(恭)投手などの頑張りもありましたが、アドゥワ投手や今村投手などがパッとせず、頭数が足りない印象がありました。そしてクローザーも中崎投手が大不振、これも体調不良があったようで結果的に手術となり、頼みのフランスア投手も回またぎなど無理が祟ったのか昨年よりも球威不足に見えました。

 

上記の2、3に関しては、監督とコーチ陣の責任も非常に大きい、いやむしろこれが一番大きな要因かもしれません。緒方監督は3連覇を成し遂げた監督として、一部で名監督と称されてもいるようですが、とにかく典型的佐賀県人特有の頑固さが特徴で、融通が効かなかった印象が強い人です。3連覇中のように、何があってもタナキクマルの1−3番のセンターラインは固定、勝利の方程式で中継ぎを順番につぎ込み中崎で締める、というパターンがはまって期待通りに選手が働いているうちは良いのですが、今年のように選手が体調不良から不振に陥っても、とことんダメとなるまで臨機応変な手が打てない、3連覇中も選手のその時点での調子によって即座の采配が求められる短期決戦のポストシーズンとなるとまるでダメだったのが、緒方監督の欠点を証明しています。相手投手の右投げか左投げかによって、前日に大当たりしていた打者をあっさり代えてしまう「左右病」も重症でした。

 

その意味では2020年は、佐々岡新監督となり、コーチ陣もかなり入れ替わっての新たなスタートとなりますが、現状のカープの戦力を考えると、決して楽観はできないものの、来シーズンに優勝できる可能性は十分にあると私は思っています。心配したFA移籍がなく、菊池涼介選手もメジャーに行かずに残留してくれました。鈴木誠也選手も、すっかりJAPANの四番としての風格が増し、昨年末のコラム (https://furue-nakano.com/?p=490)でも引用したデータ:OPS(出塁率+長打率)の数字では、10割を超えたのは今年は両リーグを通じて、鈴木誠也選手だけでした。彼の野球に対するストイックさを見ていると、まだまだ進化の途中であると感じます。新たなケガさえなければ、2、3年以内に三冠王(+盗塁王)を狙える可能性も十分にあると思います。今年結婚したのも良い方向に働くと信じていますが、将来のFAだけが気がかりです(笑)。

 

2020年の投手陣では、ポイントはやはり大瀬良投手が15勝以上できるか(20勝できるポテンシャルも十分にある投手です)、ジョンソン投手がはぶてずに我慢の投球ができるか、ドラ1の森下投手がローテを守って1年投げられるか、クローザーを固定できるか、だと思いますが、岡田と薮田の少なくともどちらか一人でも働いてくれないと厳しいと思っています。

 

しかし何と言ってもベンチの首脳陣が一番のキーポイントですね。佐々岡体制には内心ちょっと期待はしているのですが。最近、中国新聞のスポーツ欄に『新コーチに聞く』という特集が連載されていますが、第一回は一軍の新打撃コーチの朝山東洋コーチでした。インタビュー内容を読むと、「先発投手の左右によって、前の試合で打った選手を代えたくはない。フラットな目で見る」「長野は衰えておらず、代打の選手ではない」などの発言内容を見る限りは、昨年までの方針とは違うぞという印象です。佐々岡監督とは二軍コーチ時代に気心も知れた関係のようですし、緒方監督時代とは違う意思疎通のあるベンチの雰囲気にしてくれれば、と大いに期待しています。

 

今年はエルドレッド選手、永川投手、赤松選手と引退が相次いで、チームの世代交代をどんどん進めていくべきなのは、古江中野眼科と一緒です(笑)。個人的には、若手の中で投手ではアドゥワ投手、遠藤投手、野手では今年のスーパールーキー小園選手、打撃センスの素晴らしい坂倉選手が一皮剥けて成長してくれることを期待して、来年もカープを応援します!

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