院長のコラム

『2022年を振り返ってーその2』

年末恒例の院長のコラム「その2」は、いつものように2022年のカープです。
佐々岡監督体制の3年目のシーズンでしたが、ご存じの通り、セ・リーグで5位(66勝74敗3分:
勝率.471)に終わりました。

 

開幕から6連勝と好スタートを見せましたが、例年の如く、いや今年は特に酷かったのが5月末からのパ・リーグとの交流戦で、5勝13敗のぶっちぎり最下位でした。リーグ内での試合ではどこかが勝てばどこかが負けるので、ただ1人取り残されることはないのですが、交流戦で自分だけ負けて他のセリーグのチームが全部勝ちだったりすると、一気おいてきぼりになる危険性があるため、交流戦の成績は大変重要です。毎年毎年、同じ失敗ばかりで、ちゃんとパリーグのチームのデータ解析をして対策を練っているのだろうかと疑いたくなります。佐々岡監督になる前から、交流戦はずっと鬼門でした。やはり監督、首脳陣の責任も大きいと思います。3連覇前後の頃でも、カープはCSや、日本シリーズなどの短期決戦にめっぽう弱かった印象があります。こういう短期決戦では、その時に調子の良い選手の起用や相手のオーダーに合わせての作戦変更など臨機応変な対応ができるベンチワークが求められます。

 

年間の部門成績だけを見ると、決して悪いデータばかりではありません。チーム打率.257はリーグ首位です。投手部門では、防御率こそ3.54とリーグ5位でしたが、QS率(6回まで3点以内で抑えた確率)は51.05%とリーグ2位でしたし、クローザーの栗林も31セーブと、2年目のジンクスを感じさせない活躍でした。

 

攻撃面では、一発で試合を決められる大砲がいませんでした。新外人のマクブルームも得点圏打率は.317、74打点とそれなりの勝負強さは見せていましたが、ホームランが17本しかなく、その割に三振も多く(105三振はリーグ4位)、頼りになる印象が薄かったです。今シーズン特に酷かったのが、盗塁でしょう。第一期黄金時代の頃、高橋慶彦がいた頃のカープは四球でも出塁したらまず盗塁、バントや内野ゴロで三塁へ送り、犠牲フライで1点という、無安打でも足を使って点を取るパターンがお家芸でした。1985年の高橋慶彦は73盗塁で盗塁王でしたが、2022年のカープはチーム全体で、26盗塁!(阪神の近本は1人で30盗塁)でした。そして、とにかくバント、バントの多用で、ワンアウトを労せず貰える相手バッテリーは非常に楽だったに違いありません。これに関しては、シーズン中に東出コーチの談話で「今のウチには、盗塁成功を期待できる選手がいないから、サインを出せない」みたいなコメントをしていましたが、それはちゃんと盗塁の技術を教えて練習させられないコーチのお前らの責任じゃろが!と憤りを感じました。

 

投手陣では、佐々岡監督の責任が大きいと感じています。前半戦の調子が良い時に先発陣を酷使しすぎた面があるのは否定できません。佐々岡監督は自分が現役時代にタフネスが売りでしたが、今の時代、完投目指して120球以上も投げ続けていたら、1シーズン持たない投手の方が大多数です。森下も大瀬良も、後半になって失速してしまいました。また抑えは守護神・栗林がいましたが、そこに繋げる中継ぎ陣が良くなかった。森浦は頑張っていたし、後半になって矢崎がセットアッパーに定着しましたが、駒が足りませんでした。また、投手出身の監督なのに、「そこでなぜに中崎?」といった起用も目につきました。どうも佐々岡監督の投手起用法には、個人的な思い入れが強すぎて失敗するケースが多かった気がします。

 

今年の成績の責任をとって、佐々岡監督は潔く退任を決断されましたが、先に述べた盗塁もそうですが、コーチの責任も大きかったのではないですかね。特に打撃コーチ、「繋ぐ野球」って言えば聞こえはいいですが、選手が偶然ヒットを打つ確率に期待して特に何も指示しないみたいでしたが、悪いけど今年の打撃コーチには現役時代の成功体験がなさすぎて、選手を育てられないんじゃないかと思いました。例えば、今年カープに入団してくれた打撃職人の秋山が不調になった時に、今年のコーチ陣で的確にアドバイスができるのか?想像すらできません。監督が辞任した時に、総辞職してもよかったんじゃあないでしょうか。

 

と、まあ今シーズンの苦言はこのくらいにして、新監督の新井さんも就任され、チームの雰囲気もがらっと変わりそうですし、来季に期待しましょう。今シーズンは主にサードで全試合出場した坂倉選手、来シーズンは捕手一本と宣言していますが、彼が捕手の技術を磨いて正捕手に定着できれば、あのセンスに溢れるバッティングはまだまだ成長する予感もありますし、リーグを代表するキャッチャーになるでしょう。そして、秋山選手は来季はキャンプからフルに動けますので、必ずかなりの成績を残すと確信します。彼の野球に取り組む姿勢は、若手にもきっといい影響があるはずです。長打に関しては、新外人のデビッドソンがどれだけ打ってくれるかですね。打率よりも、ホームランと打点に絞って期待したいです。デビッドソンが当たり外人であれば、その前後をマクブルーム、天才西川、打撃職人秋山、坂倉、菊池が支え、小園や野間が走ってかき回せば、恐ろしい打線になるかもしれないと期待しています。

 

ちょっと心配なのが投手陣ですね。森下も肘のクリーニング手術後、大瀬良も終盤の疲れが目立ちましたし、床田も足の骨折の回復がどうなのか、玉村、遠藤がどこまで伸びるか、中継ぎ陣の上積みはできるのか、など投手陣の不安要素の方が大きいですが、まあ、セリーグの他のチームもその辺が盤石なチームなどありませんので、なんとかなるでしょう(?)近い将来、黒田博樹さんにはアドバイザーでなく、投手コーチに就任してほしいですね。

 

とにかく、来季2023年は新井新監督の元で、明るい雰囲気で『がががが がむしゃら』に突っ走ることを期待しましょう!

 

 

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