院長のコラム

『2022年を振り返ってーその1』

早いもので、今年も年末恒例の「院長のコラム」の更新時期がやってきました。自分も歳を重ねるにつれて、体感的な時間の流れがどんどん加速している印象ですが、貴重な時間をコロナ禍を理由に無駄にせず、もっと活動性を上げていかねばならないなと感じるこの頃です。

 

昨年に引き続いて、まだまだ新型コロナウイルスに振り回された1年で、オミクロン株の変異種も次々に登場して、ワクチン接種も4回目、5回目となりました。しかしながら、ウイルスの弱毒化も間違いなく起こってきているようで、昨日まで元気だった人が翌日には人工呼吸器に繋がれていた、などという2020年頃に見られた光景は、ほぼなくなっています。しかしながら、いくら弱毒株でも、普通の風邪と違って長引く倦怠感、味覚障害、記憶障害などの絶対に避けたい後遺症も多々報告があり、確率が低くても感染者数の母数が増えると重症者の数も増えてくるわけで、やはり自分は罹りたくないですよね。現に年末になって急に「ゼロコロナ政策」をやめてしまった中国では、情報公開がないので全体像ははっきりしませんが、1日に数百万人以上というとんでもない感染拡大が起こり始めて、医療体制も逼迫し、火葬も追いつかないほど死者数が増えているという状況が伝わってきています。中国で主に使用された中国産の新型コロナウイルス用ワクチンの有効性は以前から疑問視されていたこともあり、今後しばらくは中国での感染爆発は止まらないでしょう。検査や遺伝子解析も一気にやめてしまったため、中国政府からの感染状況、死亡者数の発表は全く信頼できませんし、新種の変異ウイルスの可能性もあります。また来年の春節には、中国からの人の流入によってウイルスが持ち込まれるのは、おそらく防げないと思いますので、まだまだワクチンやマスク装用、手指消毒などの警戒は緩めない方が良いと個人的には思っています。

 

今、広島県でも新型コロナワクチン感染者の拡大が続いており、学校医を担当している小中学校から毎日の新規感染生徒数や学級閉鎖などの状況がメールで届きますが、年末になって学校での生徒間でのさらなる感染拡大も続いている様です。これは一つには子供のワクチン接種率の低さによるものが大きいと感じています。子供がいる家庭では、学校から子どもが持ち込んだウイルスによる家庭内感染も避けられない面がありますし、新しい変異株の登場もあって、まだまだコロナ禍収束という訳には行きそうにありません。

 

自分はコロナ禍前には毎年1、2回は普通に風邪をひいて熱が出たり、喉が腫れたりしていたのですが、この2年を振り返ると一度もその様な症状は出ませんでした。やはりマスクを必ずして、手指消毒を徹底し、密になりそうな場所への外出を極力控えたためだろうと思います。眼科の外来診察では、顕微鏡を介して患者さんと顔が30cmぐらいまで接近しますし、3年前まではノーマスクで診療していましたが、仕事中に風邪のウイルスをもらっていた可能性もかなりあったのではないかと思います。というわけで今後当分の間は、当院では来院者全員のマスク着用義務化は継続しますし、コロナ禍が終息したとしても、少なくとも自分は仕事中のマスク装用はやめないつもりです。

 

今年のニュースでは、なんといってもロシアのウクライナ侵攻が衝撃的でした。現代においても武力による領土拡大を実行する国が存在することに驚きと恐怖を感じました。特に日本はロシア、北朝鮮、中国といった専制国家に隣接する地域にありますので、ウクライナの情勢は人ごとには思えません。また今回の戦争によって、世界経済も大きな打撃を被りました。エネルギー供給が不安定になり、あらゆるものの物価が上がり始めました。長引くコロナ禍もあり、中国経済の後退の影響も大きく、物流の停滞、半導体不足などであらゆる業界でマイナスの影響が出ました。
我々医療業界でも、コロナ禍で使い捨て手袋やマスク、消毒用アルコールなど感染予防のための経費が増大していたところに、これらだけでなく光熱費や多くの必要物品の納入価が軒並み値上がりしています。また、医療機械も半導体不足でなかなか納入されないものが出てきたり、白内障手術で使う眼内レンズも乱視矯正用のレンズが世界的に品薄で手に入らなくなったりしました。原材料の物価上昇は我々の業界だけではありませんが、食料品などは原価が上がれば生産者は値段を上げて凌げますが、保険医療機関は2年に一度国が改定する診療報酬によって収入が決められて、原価が上昇しても勝手に消費者(患者さん)には転嫁できませんので、経費を切り詰めたりして、なんとか凌ぐしかありません。まだまだロシアの仕掛けた戦争も出口が見えてきませんが、平和の大切さを実感した年でもありました。

 

昨年の院長のコラム(https://furue-nakano.com/?p=631)にも書いた医薬品不足問題ですが、今年も全く改善されていません。ジェネリック医薬品製造メーカーの不正に端を発したこの問題、それだけではなく根が深いと感じています。当院でもずっと使っていた抗生物質の数品目が、先発品にも関わらず、今年急に入手困難になりました。医療用医薬品は全体で15,000品目以上あるのですが、そのうち4,000品目以上が供給不足になっているそうです(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC056S80V01C22A2000000/)。国策として推進してきたジェネリック医薬品への切り替えですが、TVコマーシャルでも喧伝されてきた「同じ成分、同じ薬効、安全性で、値段が安い医薬品」、その謳い文句を達成するためには、それなりの製造コストがかかるんです。まともに作っても原価の安い薬剤の薬価切り下げは結構ですが、安くするために安全性と引き換えに製造コストを下げた医薬品はごめん被りたいです。医療コストの削減のために、闇雲に全ての薬価を引き下げ続けた政策の結果だと思います。薬剤ごとに、必要性と原価を十分に吟味して薬価を決めないと、まともなメーカーが製造しなくなってしまいます。

 

振り返ってみると、あまり良いニュースがなかった1年でしたが、実は当院は先代の亡父・中野淳巳が開院してから、今年で60周年でした。コロナ禍の最中で特に祝賀行事もしませんでしたが、開院当時の昔の写真を見ると、60年という時間の重みを感じます(写真には私と兄、母も写っています)。今まで当院を支えてくださった従業員、地元の方々、患者さん、業者さん、家族など、全ての関係者に心から感謝したいと思います。

 

来年は、否が応でもwith コロナの時代に入って行かざるを得ないと思います。平和で安全な1年になることを祈っています。

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