2006年8月10日
1.『OCT3000』を導入しました
当院は地域密着型ともいえる小さな眼科医院で、スタッフも少人数ですから大学病院のようにあらゆる眼科疾患にすべて対応しますという訳にも行きません。しかし、当院で出来ます,と引き受けた検査・治療に関しては、大病院のレベルにも負けないように,内容の充実に努力もしています。眼科という科は、非常に設備投資にお金がかかる診療科で、新しい検査機械、治療機器もどんどん進歩して行きますから,毎年の計画的な機械の更新、新しい機器の購入も欠かせません。
今年度に新たに導入した設備について紹介します。
『OCTスキャナー: Optical Coherence Tomography』という検査機械です。日本語に直すと『光干渉断層計』というのですが,眼底(眼の内部の一番奥)の網膜(カメラに例えればフィルムに相当)の断層像が撮影できる装置です。網膜自体の厚みは0.5mm以下しかありませんが,その網膜の下や内部に水がたまったり,穴があいたり、悪い血管が出て来たり、と色々な病気が起こって来た時に、今までは顕微鏡や眼底カメラで覗いて平面的に情報を得ていた訳ですが,その断面像を極めて高解像度に捉えられる機械です。生体の断面像を写真にする装置としては、全身ではCTやMRIや超音波検査が有名ですが,これらの装置では数mm以下の病変は映らなかったりします。このOCTは光干渉という現象を利用して、網膜に害を与えることなく、20μm以下(μmは1mmの千分の一)という高解像度で垂直方向の断面像を撮影することが出来る画期的な装置です。今まで肉眼では判別困難だったレベルでの画像診断が可能になり,黄斑部(網膜のど真ん中の特に大事な部分)の病気の診断や手術適応の決定に非常に有用です。また、網膜の表面に走る神経繊維の厚みも測れるので,緑内障の診断機器としても応用がされています。(装置についてはこちらをクリックしてください)
製造元のCarl Zeiss Meditec社の話では、日本中で今までに約400台売れているそうですので,一県に平均8台ぐらいはある計算ですかね。網膜の手術をたくさんしている病院では最近では必須ともいえる機械ですが,値段が一千万円以上するのに、検査自体が健康保険の保険点数が認められていないので,病院の収入には全くならないところが経済的につらいところです。ですから、私のところのような個人医院では手の届かない贅沢品と思っていましたが,実際使ってみてその威力と魅力に負けてしまい,診断能力の更なる向上のために、導入を決意しました。実際に使用してみると、やっぱりすごい、画期的な機械です。
2.『The Best Doctors in Japan TM 2006-2007』に選出されたそうです
突然、米国のベストドクターズ社という会社から封書をいただき、「あなたは2006-2007年度のBest Doctors in Japanの一人に選出されました」という通知でした。今までこの会社のことは全く知らなかったので,「また、変なダイレクトメールか何かかな?」と思いましたが,企業などと契約してセカンドオピニオンなどの診断を頼むための医師紹介をやっている会社のようで、べつに『登録してあげるからお金出して』というような変な組織ではないようです。
(http://www.bestdoctors.jp/bd/index.html)
その医師選びの方法が同社のホームページによると(以下引用抜粋)、
『ベストドクターズ社の名医選出方法は非常に単純です。膨大な数の医師に対して、「もし、あなたやあなたのご家族が、あなたの専門分野の病気にかかった場合、どの医師に治療をお願いしますか?」とアンケートします。米国の一流企業や一部の日本企業で行われている人事評価制度(ピア・レビュー)の仕組みと同様ですが、これを医学界という途方もなく広い範囲で行っているのです。アンケートは40以上の専門分野、400以上の副専門分野に対象医師を分類して行い、評価上位者を名医と認定しています。1992年に調査を開始してから全世界で延べ100万人にこの質問を繰り返し、認定した名医の数は米国での約30000名、日本での約1400名を含め、世界中で50000名にのぼります。この調査は毎年繰り返されるため、ベストドクターズ社の名医データベースは常に医療の最前線で活躍している、経験豊富な医師のみが登録されています。』
ということだそうです。私も開業するまではあちこち移動をして全国に眼科医の知り合いだけは多いため,何人かの先生方が推薦して下さったものと思われますが,非常に光栄なことだと思いました。ただ、他にどんな先生方が選出されているのか、興味があったのですが,一般向けには公開はされていないようです(要するに膨大なアンケートで選んだ医者のリスト自体がこの会社の商品ということなのでしょう)。